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AIの課題:Strategic Management Society (SMS)@サンフランシスコ(2)

今回もまた主役はAIである。情報を常にアップデートしてよりタイムリーな意思決定ができるとか、人間の情報処理能力をはるかに超えるという意味で「神の世界に近づきつつある」という発表もあった。ただし、最近デロイトがオーストラリア政府に返金したように、AIは完全ではないし、「1つエラーがあると、システム全体が疑われる」という根本的な問題はある。

一方、人材絡みのセッションでは「応募する方も採用する方もAIを使うのが当たり前になっている」「結果として、人材プールが同質化する傾向にある」という指摘があった。これはおそらくスタートアップとVCの関係でも言えるだろう。

より本質的を考えると、LLMと言われるように「言葉」が全てである。そもそもどのようなサンプルの言語情報を使っているかもそうだし、同じ言葉だからといって同じ意味とは限らない。「バカだなあ」は誰に、どのようなシチュエーションで言っているかによって全く意味が異なる。

更に言えば、一般的な「価値」と当該企業が求める「価値」は必ずしも同じではない。統計にはハズレ値があるように、全体の傾向と個別社員、企業はまた違う。結果としてAIを使った採用ではこれまでの人事部が見逃していた「他社には採用されないが、当社にはとても価値のある人材」が見つかることもあるという。実は配属ガチャのほうが本人も気づかない適性が見つかるかもしれない。

もう一つの大きな課題は「AIは企業や個人間の差を拡大するのか縮めるのか」。昨年のSMSではコンサルティング会社で「AIは若手を助けるが、パートナーレベルはあまり関係ない」という発表があった。同質化が加速する中で、個人の価値、そして企業の差別化をどう追求するかは「ウラ課題」と言ってもいいだろう。

刑事捜査にもAIは使われているんだろうかと思ったりしながら、ホテルの部屋で久しぶりにHBO(WOWWOWみたいなもの)のドラマを、朝5時から見てました。