あたりまえだけどそうだよなと思ったのは、「適性と仕事がマッチした場合、生産性が劇的に上がる」という発表。配属ガチャ問題と関係するが、適性がなかなかわからなかったり、適性があってもやりたいことと違うことはよくある。
SMSは研究者とエグゼクティブのジョイントセッションもあり、企業戦略の核をなす人材の事業間配分に関して、Googleの担当者は「これまで約250のM&Aをしてきたが、そのうち80%は人材目的」「一般のテック系では20%、アルファベットでは30〜40% が新しい仕事」「まず社内で探そうという企業と、まず外からという企業がある」など非常に興味深い話も聞けた。
そのセッションにはVCやBCGのお偉方も発表していたが、キーワードはfungibility, 日本語で単純に言うと応用可能性、つまり別の事業や仕事に配置換えができるかどうか。ジョブ制は日本企業がいましゃかりきに導入しようとしているが、その限界・弱みを指摘している。それを補うために外部から採用するわけだが、専門性と同じくらいfungibilityを見るのだという。
もう1つ面白かったのが、これは前回も触れた「個人の能力」をどのように見つけるか、つまりdiscovery cost。やりたいことと適性が違うだけでなく(アメリカでは住居移動のハードルが結構高いそう)、社員がやりたいことと会社が欲していることが一見全く違った言葉で表現されているが、よくよく話すと同じだということはよくあるらしい。また個人の能力とチームの能力は必ずしも同じでない(だからこそ、一本釣りでなく、企業ごと買ったりする)。
最後に指摘された課題は「human dignityを保ちながら人の最適配分をすること」だった。日本でも人的資本とかWLBとかDEIとかいろいろ言われているが、結局そこである。会社愛のない社員ばかりでは競争力どころではない。