下請け法違反から始まり、休業手当の不払い、違法残業疑いなどシャトレーゼの悪いニュースが次々と報道されている。「お前もか?」と問題提起したいのは不祥事のことではない。対策として「管理体制の強化」「ガバナンスの見直し」を発表したことである。
過去にも企業の不祥事問題には事欠かない。そしてほぼ100%と言っていいほど管理強化が対策として打ち出される。逆に言えば、「管理がしっかりしていないと、うちの社員は悪いことやってしまうんです」と宣言している。社員はどう感じているだろう?
喜んで不祥事をしている社員はいない。99%のケースは魔が差す、あるいは油断だと思う。だから管理をする、チェックリストを増やすというのは1つのやり方だが、社員のモチベーションも仕事に対する誇りもますます失われる。人的資本とか、イノベーションとか社長が叫ぶ中で、言われたことしかやらない社員が増えるのは当然だろう。
増やすべきものはルールではなく、社員の誇りであると思う。不祥事はなくなったが、「ただの会社」になれば、あこがれて入った意欲的な社員はやめていく。ますますルールを作る。『ビジョナリーカンパニー2』で指摘されている悪循環である。
シャトレーゼの場合、業績が好調で調子に乗ったというのはあるだろう。そして、2024年8月に創業者が亡くなったことも大きいように思われる。精神的重しがなくなった、ということだけではなく、「三喜経営」が伝わらなかったのかもしれないし、後継者を間違えたのかもしれない。「自分はイメルトを選んだことで名を残したい」と言ったジャック・ウェルチも間違えたくらい難しいことである。ここでも「お前もか?」