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ルールをなくす努力:製造業不正の本質(3)

軽い気持ちでも一旦ルールを作ってしまうと、それだけで社員は萎縮する。命令も同じで、言ったほうは忘れているのに、言われたほうが一生懸命守っていたりする。ルールを破ることはエネルギーが要る。頭のいい人ほどルールに固執するのは「もしなくして何かあったらどうする」と忖度して怯えるからである。そしてルールの奴隷になる。「意識を変えろ」といっても変わらないのは当然である。

その意味で、お上も経営もルール作りばかりに熱心ではなく、どうしたら無駄・有害なルールをなくすことができるかにもっと力を注ぐべきだ。教育も全く同じ。昨日まで「規則を守れ」としつこく言っておいて、卒業するや否や「チャレンジ」と平気で言うのは、まるで終戦直後のようだ。

一番いいのはルールの撤廃。小学校じゃないのだから、企業人をルールで縛るのはおかしいし、自分で決められないのなら別の会社に行けば、というのは「No rules」で有名なNetflix。そこまでは、というのであればデフォルトを変える、つまりそのルールが今ないとすれば新たに作りますか?を問いかけてみる。いやいや、それは、というのであれば間違いなくそのルールは必要ない。

経営の目指すところは、ルールで縛って不正が起きないようにするのではなく、ルールがなくても社員が自らの判断で動き、能力を発揮して顧客に価値を提供できることだ。ミッションとかパーパスってそういうことではなかったんだろうか?