よく聞く言葉である。先月の日経朝刊(5月26日)にも、大阪万博とのからみで自動車産業に代表される「産業の広い裾野と独自の技術力」、更にはガンダム、ポケモンと言ったコンテンツなど「文化的な魅力」が挙げられていた。この記事に限らず、そうした論調は多いと思う。
本当にそうか?
「強み」と気軽に言われることが多いが、本当に理解することは簡単ではない。個人に置き換えたらよく分かるだろう。勘違いも多い(野村監督がドラフト上位指名選手が活躍できないこと例によく言っていた)。実際幹部研修などでも「当社の強み」を1日議論してもなかなか納得する解にたどり着けないことは多い。巷の強み論は「結果として強い」と言っているだけで、なぜ強いかを掘り下げていることは少ない。
強みにはインプット、プロセス、アウトプットの3種類がある。インプットは例えば優秀な人材、プロセスとはそうしたインプットを競争力ある商品やサービスにつなげる仕組み(経営と言ってもいい)、そしてアウトプットはすでに議論されている通りである。
そう考えると、例えば日本のコンテンツは「大好きな個人」に支えられているという気しかしない。「やりがい搾取」という言葉もあるように、そうした個人の能力を最大限に発揮できていないとすれば、もしかしたらプロセス的には「弱み」かもしれない。
ダイバーシティもパーパスもそうだが、実は言葉だけが独り歩きしているのではないのか?だからいつまでたっても「強みを活かす」とならないのではないか?なんて思うのです。