少し前NewsPicksにちょっとコメントしたら反響が想像以上に大きかった高校無償化について加筆版を書きたい。親ガチャという言葉がはやったが、要は貧富によって教育の機会を奪われるのはよくないということらしい。「日本には天然資源がないのだから人に投資するしかない」という大昔に聞いた議論を思い出す。
ただ、「タダより高い物はない」という諺もある。詳細は控えるが、結果として全体のレベル低下につながる「甘い毒薬」という識者もいる。驚くことに、東京都も大阪府も2024年度から先行して無償化しているのに、その「実験結果」を踏まえようという声も全く聞かれない。
ポーター教授の真反対を行くミンツバーグ教授は、その著書で「効率化の罠」を指摘している。効率というと人は無意識のうちに数値化しやすいものに目が行く。それはほとんどの場合コスト、分母である。
教育の最も重要なのはその効果、分子のほうだと思う。「安かろう、悪かろう」では意味がない。なのに、そちらの議論もほとんどといってないのはなぜだろう。
我々も、その結果としてマスコミも野党も、目の前にあるわかり易いものに飛びついてしまう。首相の商品券のように。重要かどうかよりもわかり易いかどうか、叩きやすいかどうかが話題選びの基準になっているように思われる。
世の中本当にコスパ、タイパの時代であるとすれば、分子であり、見えにくいパフォーマンスに対してもっと気を使う必要がある。星の王子様に聞くまでもなく、見えないことを言い訳にしたら、私たちも、国も、そして子供たちも、間違いなく不幸せになる。