イスラエル出身の彼とはアメリカにいた頃からの友人である。私がいたテキサス大学の教員公募で面接に来て(結局コロラド州立大学で成功している)、朝ご飯を一緒に食べてから妙に気が合い、テルアビブでの学会はもちろん、毎年国際学会では必ず会う。
今回イスタンブールでも彼と色々話をしていて、驚いた発言が2つあった。1つは有名なアヤ・モスク(Hagia Sophia)を訪れたことについて。実はもともとカソリックの教会だったのをモスクにしたのだが、その歴史の記述がまったくないことに「胃がどうかなりそうなくらい」upsetしたという。
もう一つは戦争について。高齢の父親を心配して、戦争が始まってから6回もイスラエルを訪ねているそうだ。そして「これまでは戦争をすることに対していろいろな意見があったけれど、今回は団結している」「イスラエルは日本でもスイスでもない。中東にいるということは、戦わなくてはならないというリアリティに多くの人が目覚めた」のだという。
こうした発言に驚いているのは、単に自分が無知なんだということに改めて気づいた。本当のことは何も知らない日本の解説者の意見をいつのまにか鵜呑みにしているということにも。
ネットがあるから世界中の情報は日本にいても入手できる。しかし、その情報にはクォリティの問題は言わずもがなとしても、おそらく最も大切な「温度」がない。「真水の情報」「泥水の情報」という区別をダイキンの井上名誉会長はしているが、単に情報ではなく「温度」を感じることこそが経営者にとっても私たちにとっても大きいのではないだろうか。あ、無理に選挙の話に結び付けるつもりはありません。