前回は「経験の共有」の重要性を指摘したが、ダイバーシティが生かされるためにはなおさら重要である。違った考え、バックグラウンド、見方を持っている人々がシナジーを生むためには、出発点となる「共有されたアイデンティティ」が不可欠だからである。つまり、何は同じで、何は違うかをはっきりさせるということだ。
それと関連して発表があったのは「20メートルの壁」。20メートル以上離れるとあまり話さなくなるし、知り合いになったりすることもないから、「経験の共有」ひいては共通のアイデンティティも生まれないし、助け合うことも少なくなるのだそう。
それを補うために「ランダムランチ」、つまり昼休みに社員同士がランダムにランチをすることで生産性が高まったという話もあった。知らないからコミュニケーションが必要なのに、知らないから話しかけにくいというジレンマを超えるには、強制が必要だという1つの例である。
逆に、仲良しグループのメンバーを別々の部署に配属すると、そうした部署間のコミュニケーションが良くなるという指摘もあった。
発表者は「大物CEOが会社とは全く別のところに住んでいることがあるけど、大丈夫なのかと思う」と付け加えていた(スタバの話?)。経営者は、何をするか、何をしないかだけでなく、「どこにいるか」も重要なんだ。
写真は5メートルにも満たないサバサンドの製造現場でした。