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人という資源の再配分(前):Human capital redeployment

企業戦略といえば多角化、最近ではポートフォリオという言葉がよく使われる。同じ意味だが、ポートフォリオと言った場合、単なるシナジーだけではなく、全体像を見て資源配分をどうコントロールするかという視点がより強く感じられる。

資源配分というときに、お金の話が頭に浮かぶこと多いが、実は最も大切なのは人つまりHuman capital (HC)の資源配分である。エースをどこに持ってくるかとか、どの部門は外部から採用するか、等々。欧米でも当然そうした議論はあるが、雇用の規制が厳しい日本ではとても重要トピックだと思う。ただ、あまり聞かない。

一方で、「人を活かせ」という大上段の声、逆にリスキリングという個人レベルのスキルばかりが議論されているように思う。いずれも戦略や資源配分とはほど遠い。

「Dominant Logic」という1986年の古典的論文がある。多角化は事業の類似性などがシナジーを左右するというのが一般的な考え方だが、実は経営者が培った基本的考え方=dominant logicがその成否を左右すると指摘している。経験は重要だが、より重要なのはビジネス、組織、そして人の「関連性」がわかっているかどうか。その意味で、資源としての人の評価は過去の業績評価とはまた違うはずだ。

人的資本経営とはそういうことだと思う。自分の企業の「資源としての人のポテンシャル=HC」を深く知ることなしに、新規事業なんてできないと思う。入社式には「好奇心が大切」「夢を持て」なんて威勢のいいことを言う経営者のどれだけが新入社員はもちろん自社のHCのことをわかっているんだろう?