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「夢を持て」という勘違い:2024年4月始まる(続)

4月1日の日経新聞の1面は「夢」という言葉であふれていた。5面には「夢は成長の原動力」と在り、2面の社説は「新入社員の意欲と挑戦引き出す企業に」とある。なんか変な気がして考えた。

自分の行状を棚に上げて言うのだが、こうした「夢」の議論の背景には、どこかで「しなくてはならない」という上から目線が感じられるからではないか?

大きなお世話である。しなくてはならないから夢を持つのではなく、他人から何と言われようが持ってしまうのが夢ではないのか?でなければ原動力になるわけはない。

5面にあったサントリーの新浪社長は「缶入りアルコール飲料市場での世界一への挑戦」。苦心されたんだろうが、無理して刻んだ感のある「夢」に社員はどう感じたんだろうか。4月1日というのも考え出すと気になる。入社を決めるとき、あるいはこれまで、社員は何を考えていたんだろう。

同じ日の新聞の35面には働く500人の過半数がFIREしたいという調査結果が載っていた。「まあ思う」を入れれば3/4が今の会社や仕事は面白くないと言っている。

一度引退しながら復帰したボクサーの述懐を引用する(『遠いリング』後藤正治より)。レストランを会社に置き換えてみてほしい。

「結局、好きなんですかね。朝から晩までレストランで働いて、人より多少多めの給料をとってみたところで、別に充実感なんてないんですから。…やっぱり燃え上がるようなものというんですか、一生懸命やって、やり切るようなものというんですか、そんなもの、ほしかったです。」