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不正問題議論の不毛:2024年4月始まる(最後)

前回で終わりにしようと思ったのだが、新聞(4/5日経朝刊)の記事が気にかかりもう1回。問題自体は「品質不正が相次いでいる」という深刻なものだ。

「声を上げたら左遷、恐怖人事に委縮」、だから「風土改善を」という指摘に卒倒しそうになった。これが真実ならば単なる犯罪組織で、風土どころの話ではない。「よくある話」ですませられるのだろうか?

また「挑戦よりも社内評価を意識する」というのも舌足らずだ。社員がそんなに保守的でリスクを取らないのであれば、なぜ「不正」という大きなリスクを冒すのだろう?「横領事件の記憶が風化し始めると再発の可能性がある」という声にもびっくり。チャンスがあれば盗もうという社員の集まり?

話としてはとても分かりやすい。が、さらっと流れて本質に行きついていない(この辺りはまた後日触れたい)。個人的には前回指摘した「夢」がないことに尽きると思う。会社にないのはもちろん、社員も自分にはないと思いこんでいる(だから辞めるという選択肢が浮かばない)。「会社が大きすぎて情報が来なかった」と言い訳するのは、「投資家や当局からの注文をこなすのが精一杯で、自分のやりたいことを社員と一緒にやっている時間なんてない」と言っている。上も下もただへとへとになっているように見える。

求めるべきは、「罰せられるから不正しない」のではなく、「不正なんて考えたこともない」組織であるはずだ。その意味で「不正の芽はもっと上層に存在する」という指摘は正しい。「うちの会社の仕事って、こんなに楽しいんだ」と社員に実感させることこそ経営者の役割と思うからである。みんな、もっとやりたいことをやろうよ!