副業と並んでリスキリング流行りである。先日も新聞が特集を組んでいたが、もう一つの流行のDXやAIとの文脈で語られることが多い。経産省(とリクルート)の資料によれば「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」とある。
2020年のWorld Economic Forum (通称ダボス会議)での発表が契機になって世界中に広まっているが、単に「IT人材」(これもなんのことだかわかったようなわからない言葉)を育成しようと言っているようにも聞こえる。
思うに「リスキリング」という言葉がけないのではないか?なんとなくわかりやすい一方、言葉・手段が目的化する。そもそも「スキリング」していたのか、だれがどのようなスキルを持っているか(注:勤務年数とは異なる)わかっているのかという点もそうだし、勉強や成長の重要性は今に始まったことではない。「英語を身につけたほうがいい」と言われながらどれだけできただろう?
流行り言葉ではなく問題の本質を考えてみると、最も重要なのは時代に即して「ヒトという資源を最大限に生かすこと」なのではないかと思われる。だとすれば、スキルだけでなくモチベーションも含めた「適材適所」を個人も企業ももう一度考えてみる必要があるのではないか?さらに言えば、DXやAIの時代にビジョンとかパーパスとかを「具体的に」どう達成するのかという道筋がなければどんなスキルが求められるのかも一般的な話で終わる。適材適所も、そしてリスキリングも「そりゃ、英語できないよりはできたほうがいいよね」程度の話になるのではないか?
リスキリング(スキルがあることが前提だが)が必要なのは、まず企業であり経営層ではないかと思うのである。副業と同じで、まず隗より始めよ、ってことは多いなあ。