ビッグモーターも伊藤忠が再建に乗り出すといわれ、損保ジャパンも桜田CEOの完全退任が決まり、昨年夏から続いた一連の問題はほぼ終息しそうである。ただ、ちょっと待て。なぜここまで損保ジャパンがマスコミや金融庁から叩かれるのか?
ビッグモーターのやったことはもちろん犯罪である。しかし、損保ジャパンは過大な保険料を支払わされた「被害者」ではないのだろうか?保険料という形で顧客に転嫁したのが問題であるとするなら、顧客は他の保険会社に乗り換えればいい。顧客を無視した経営の結果、シェアを著しく落とし、凋落し、株主に大損害。これは問題だ。
しかしそうはならない。この間損保ジャパンの株は上昇している。市況が良いとはいえ、これだけ叩かれるのであれば、右肩下がりでなくてはおかしくないだろうか?
いろいろ考えてみると、日本は「市場=売手と買手」の機能が悪く言えば未成熟、良く言えば特殊なんだと思い至る。賃金上げろと言うのだって、本来人手不足なら勝手に上がるはず。PBRが低いなら投資家に見放されるはず。なのに、そうはならず、お上が箸の上げ下ろしを指導することになっているように見える。日本に神様はたくさんいるはずなのに見えざる手はどこ?
「日本(企業)は変わらなくてはならない」という大合唱の割には、みんな変わりたくないのだろう。確かに変えるのは面倒だし、リスクもある。ただ、やってみると思ったより大したことないことも多い。変えたから失敗が見える化されるだけで、本当は変えなくてチャンスを逃したり非効率を温存しているのかもしれない。「変革」なんて大層なものでなく、「嫌なことはやめる」「我慢しない」「尊敬できる人とだけ働く」くらいから、老いも若きも始めたらどうだろう。