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「区切り」と「きっかけ」: Break-point vs. Trigger

個人としても組織としても、プライベートでも仕事でも、「区切り」を大切と思う人は多い。新年というのがそもそもそうで、あるいは学校の入学、卒業も、気持ちがリセットされる。企業で言えば社長交代というのはそうだし、新規事業の「3年単黒、5年累損一掃」というのもそう。

逆に言うと、締切のない仕事は惰性に流されたり、後回しになったりしやすい。ゆでガエルが生まれるのも同じことだ。

注意しなくてはならないのは「区切り」があったとしても、それが繰り返されているうちに「区切りを含めた慣性」に陥ることが多いことだ。毎年同じような新年の目標を立てたり、ずっと赤字の子会社を抱えていたりといった事例は事欠かない。

もう20年以上前になる私の博士論文(赤字続きの買収事業をいつ売るか)の大きな発見は、実は「区切り」ではなく「きっかけ」が重要であること。社長交代もそうだし、全く関係ない事業での大赤字もそう。それはゆでガエルに熱湯(刺激)という側面もあれば、一歩踏み出すお墨付き(言い訳?)の側面もある。そして、こうした「きっかけ」は偶然に左右されることが多い(吉本の大崎会長も確かに多様なことを言っていた)。その意味で、同じことの繰り返しは楽だが「きっかけ」は生まない。まぐれは何かを始めない限り起こらない。

面白いことに「きっかけ」は暗い顔をしてやってくる事が多い。社長の左遷と同じにしていいかはともかく、急斜面を気持ちよく滑っていたら、背中が痛くなり、仕方なく宿に戻ったら、いい温泉を紹介されとってもハッピー、なんて(実話です)。ただ、飛行機の中のトイレは「どうぞ」といってドアを開けたままより、一旦締めてもらったほうがいいなあ。