政府を含め、日本の組織の意思決定が遅い問題は相変わらずである。一方、一部の創業リーダーはその意思決定の速さが際立つばかりか「朝令朝改」と言ってはばからなかったりする。
ただ、部下の立場からすれば、トップが決めないことも嫌だが、ころころ変わるのもうれしいはずはない。「ブレる」というのは悪口の代表だし、「どうせ変えるんだから、やらなくてもいい」となったら悲惨である。
大切なのは、ゴールは変えないが手段は様々な情報が入ってくるのに合わせて柔軟に変えていくということだろう。コミュニケーションのやり方もあるとは思うが、部下としては納得度が高いだけでなく、考える力、自主性も試される。
そこで流行のビジョン、パーパスの重要性ということになるのだが、これが難しい。「顧客第一」というのは北極星にならないからである。「顧客とは誰か」については「誰は顧客でないか」と同じくらい議論がされていないし、顧客ニーズもどんどん変わっていく。
そう考えると本当の北極星は自社が提供できる「価値」ということにならないだろうか?松井道夫松井証券元社長の言葉を借りると「顧客の囲い込み」ではなく「この指とまれ」の発想である。アップルのiPodやiPhoneはこれに近い(今や囲い込みに走っているけれど)。「ブレる」とか言われるのが嫌なばかりに、手段を変えようとしないのは最悪です(前回の繰り返し)。