“It’s Not Just You. Let’s Have an Honest Conversation about Failures”というセッションに出た。実際、この職業は目に見えたfailuresが多い。そもそも何を博士論文(dissertation)のテーマに選ぶかで迷走、あるいは書き始めてから行き詰まって1年どころか数年延びることはよくある。いったい自分はどうなるのかと暗澹となる。そして前職の業績とは全く関係ない就職活動。その後も論文を学会誌に出しては(散々レビュアーにこき下ろされて)却下され、更にはテニュアという大きな壁がある。Publish or perishと言われるゆえんである。
プライドがずたずたになることも珍しくなく、「人生の決断で最高だったのはカウンセラーに定期的に通うこと」と言っていたのはその素晴らしい業績で誰もが知るAgarwal教授(写真左端)。女性の場合ライフイベントが重なったりして更に大変なことは多い。「成功しているからといって、その人がどんな経験をしているのかは誰も知らない」という指摘もあった。
このセッションのもう1つの重要なミッションは長年のファンであるEdmondson教授(日本では「心理的安全性」のほうが有名)とお話することであった。実はベルリンで「エラー学会」が開かれた時、2人共招待されたのであるが、すれ違いで会えなかった因縁もある。
完全に贔屓目だが、彼女の素晴らしいところはこれだけの業績、ポジションにいながら、常に謙虚であること、そして学ぶ姿勢を忘れないこと(パネリストでありながらしっかりとノートを取っていた)。多忙なことを承知で、毎年ハーバードの先生を招へいするKBSの高等経営学講座にもぜひ来ていただきたいことも伝えた。
25年かけてミッションを達成した以上、ここからもう一度仕切り直しである。