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「リーダーがしてはいけない質問」@ベルリン

第4回Error Managementコンフェレンスにパネリストとして講演しました。参加者は欧米の教授陣だけでなく、ドイツの軍関係者、シーメンスの品質担当役員、前スイスポストのCEO、ヨーロッパ各国の病院や企業の人事担当者など多岐に渡りました。

1日目は企業・実務家向けの講演、2日目は教授陣だけで集まり、重要だが手のつけられていない研究 (“What are we missing here?”)と社会に対してどのような貢献が出来るかについて今後の方向性についての議論を行いました。

色々あったのですが(写真のように専門家を招いて議論をビジュアル化したのは新鮮で、参加者も盛んに写真に撮っていました)、1日目のセッションで唸った点を1つだけあげるとすれば、元アメリカ海軍の潜水艦長David Marquetが指摘した、「リーダーがしてはいけない質問」です。それは「二択の質問」、つまり「yes, no質問」です。

これまでの航空機や軍関係の事故、そして自分の艦長経験を踏まえ、彼は大事故が起きるときに必ず前兆があり、誰かはおかしいと思っていると強調します。これは最近頻繁に見られるリコールや基準違反問題でもそうだと思いますし、別のパネリストの空軍トップも指摘していました。多くの組織では現場や社員は「おかしい」と思っていても(大事故になるまで)声をあげない。そして、リーダーは「万事順調」と思っているのです。

逆に言えば、なぜ「おかしい」と声が上がらないのか?

1つは「ルール」に縛られる、もっと言えばルールの奴隷になってしまうことがあります(これは次のブログでもう少し触れます)。

それと関連してDavidが指摘したのは「上司が二択で質問すれば答えは決まっている」ことです。「問題ないか」と聞かれれば、20%、30%くらいは変だと思っていても、70%は問題ないので、「問題ない」と答えてしまうという人間組織への洞察です。少し体調が悪い時に親や配偶者から「大丈夫?」と聞かれれば、誰でもよほどでない限り「大丈夫」と答えるのと同じです。リーダーはリアリストでなくてはなりません。リアルに考えたとき、情報収集とはwhatだけではなくhowも考えなくてはならないのです(日産のケースでもやりました)。

今回は2つの国内出張の間に無理やり入れたベルリンを楽しむ時間の全くない2泊4日の出張でしたが、無理した価値はありました(次回に続く)。