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日本企業のデジタル化の遅れの良い点:Another side of DX delay in Japanese firms.

政府も含め日本の組織のデジタル化の遅れが何度も指摘される。DXは今やコンサルティング会社の飯の種になっている。このままだと日本は世界においていかれるという懸念はもっともだと思う。

ただ、実は良いところがあるのではと思ったのは、先日パナソニックの社外取締役も務めるIGPIの冨山氏とした話を反芻した後のこと。実は私もパナソニックの改革に関しては過去にMBAやEMBAのテストで何度か取り上げており、「自社の事業部もうまくコントロールできないのに、ブルーヨンダーなんて買って大丈夫なんだろうか」という議論もした。それに対しての冨山氏の答えは「コントロールしようなんて思っていない。教えてもらうんだ!」

以前、PWCと大手日本企業のアジア進出に関してのリサーチをした事がある。そこでのシンプルな発見は「上から目線だと失敗する」ということ。1960年前後から欧米に進出した日本の自動車会社はビッグ3(もう死語だけど)などに比べ技術も何も劣っていた。だから「なんでも教えてもらおう」と貪欲に学び、師を超えた。一方、アジア進出には「自分達の方が上」「教えてやろう」「だから新興国は困る」的なところが見え隠れしていなかったか?

その意味で、デジタル化やソフトの弱さを指摘される日本企業は、1970年代の謙虚なマインドセットに戻りつつあるのではないかと思うのである。成長するためには、まず自分が知らない、できないことを認めなくてはならない。そうしたマインドセットを共有するためにも「助けて」「教えて」というのは、組織の上の人ほど使わなくてはいけない言葉ではないのかと思う。最近流行のスマホのアプリの使い方知ってますか?