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IGPIのクラスを終えて(3):本当の「両利き」?

IGPIが結構プッシュしているのが「両利き」経営つまり深化(exploitation)と探索(exploration)である。PPMのことなのだが、「探索であって発明(invention)でも開発(discovery)でもない」という冨山氏の指摘にははっとした。

インベンションとイノベーションの違いについては以前も書いた。日本企業は発明や開発に力を入れている割には、探索が今一つだという指摘はその通り。「iPhoneをあけて、日本企業の部品が90%とか言って喜んではいけない」のだ。

なぜ探索が下手か?1つは、海外でもよく言われるNIH(Not Invented Here)マインドセットあるいは妙なプライド。インベンションとイノベーションの取り違いと言ってもいい。そして、もう1つは「主語」問題。イノベーションに会社の支援は必要だが、イノベーションを生み出すのは会社ではない。一番大事なのは市場規模や成長性でもシナジーでもではなく「心からやりたいと思っている社員」がやっているかどうか。

3つ目は大企業が頭良すぎることではないか?「こんな穴がある」「こんなことをしてうまくいくはずがない」と考えすぎているうちに、世の中のことを知らないバカな(失礼!)スタートアップがさっさとはじめ、試行錯誤してイノベーションにつなげていく。

昭和のおじさん3人の会食では「最近の若い人コンサバじゃない?」「大企業は嫌と言いながら、有名コンサルや出来上がったスタートアップで満足していない?」と言う話にもなった。戦略の基本は「バカなとなるほど」。ただ「なるほど」は教えられても「バカな」のほうは難しい。これが本当の「両利き」では?