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「イノベーション」は「インベンション」ではない

「イノベーション」という言葉を最近よく耳にする。気になるのは「インベンションとは金を使って新商品・サービスを開発すること、イノベーションとは新商品・サービスで金を儲けること」の本質的違いが混同され、「インベンション」の意味で「イノベーション」が使われていることが少なくない。多くの経営書などで指摘されるのは「アイデア」「発想法」つまり「インベンション」であって、「イノベーション」ではない。

「商品化するのは、よいアイデアを生み出すことの10倍難しい。その商品で利益を上げるのは、さらにその10倍難しい」と指摘した松下幸之助翁のリアリティがない。

「日本のイノベーション欠乏論」でよく指摘されるのはリスクマネー、例えばVCなどの不在であるが、現実にはその逆で、日本の中途半端なリスクマネーが「イノベーション」ではなく「インベンション」で満足する起業家を作っているように思われる。

より根本的な日本の問題は事業化に対する障害、規制が多すぎることだろう。起業家たちが本当に意味での価値創造で競うのではなく、規制の網を潜り抜けられる小ぶりなものばかりになっていないだろうか?政府の「イノベーション」への貢献とは、支援を増やして自己満足することではなく、抵抗が大きくとも規制を減らすことではないかと思われる。(6月29日早稲田大学での日本経営学会講演のサマリーに加筆)