イオンの岡田卓也さんの本を斜め読みしていて「アクセルはブレーキがあるから安心して踏むことができる」という一文に出会った。昔自動車評論家もアウディについて同じようなことを言っていた気がする。
ガバナンス、管理部門、上司(親)の1つの役割は、トップや事業部門、あるいは部下(子供)に対してブレーキをかけることである。それがうまく機能せず「暴走」の結果、例えばM&Aに他社の3倍の値段をつけた(東芝のような)事例は、しばしばマスコミをにぎわす。
ただ、これは見える一面にすぎないのではないか?実際は「こんなこと言ってもどうせ認められない」「否定されるなら最初から上申しない」ことの方が圧倒的に多いのではないかと思う。「優秀な人材がたくさんいるのに生かされていない」のは大体このパターンである。
イノベーションが叫ばれるが、新しいアイデアが最初から約束されたものではまずない。ファイザーのワクチンだってそうである。バカな、と思われるアイデアを組み合わせ、ブラッシュアップして事業化につなげることこそがイノベーションだとすれば、ブレーキの役割は単に止めることではなく、どんなバカなことを言っても「受け止めてもらえる」という安心感を生み出すことでなくてはならない。
「アクセルとブレーキを踏み間違えた」という痛ましい事故が増えている。そのせいではないと思うけれど、組織や家庭でもブレーキがやたら幅を利かせて、たまにアクセルを踏むと大暴走、なんてことを時々目にする。
私事ながら18日にまた歳をとり、後2年で還暦!! いいブレーキになれればと思うこの頃です。