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「欲ばり」問題:Are you greedy enough?

昨年末広島県が出した「女性の欲ばりハンドブック」が炎上した。舌切り雀の時代からの教えがここでも生きている。もちろん欲ばりへの非難は日本だけのことではなく、映画「Wall Street」ではマイケル・ダグラスが演じる悪役Gordon Gekkoに「Greed is good!」と言わせているし、サブプライムにたかったバンカーの強欲ぶりはリーマンショックの時にも盛んに喧伝された。

ただ、最近は「ちょっと欲なさすぎじゃない?」と思うことの方が増えている。肉食、草食と言う話から始まり、会社でガツガツ働いて出世するより、年収低くても幸せに暮らしたいという声をよく聞く。昨年はWall Streetを代表する超肉食系のはずのゴールドマンサックスの若手が「残業が多すぎる」と言い出して話題になったし、日本でもコンサルティング会社で「社員の内通」によって労働基準監督署が入った話を聞いた。

これは単に欲の方向が変わっただけかもしれない。マウントを取るのではなく、他人と比べるのではなく、自分の中身を充実させたいと。それだったらいいけれど、SNSの話、いいねがどうのと聞くと、本当にそう?負けたり、傷つくのが怖いから、自分の欲を抑えて挑戦しないことを正当化しているだけでないの?と心配になる。

MBA/EMBA向けの基礎科目で私は「ゴムひもはどこまで伸びるのか?」という妙な質問をする。「ぐっと伸ばしてみて」と言うのは間違い。「切れるまで伸ばす」ことが正しい。もちろん切れてしまったらダメなのだが、「精一杯やりました」という学生にもうちょっと頑張れない?と引っ張るとぐいーっと伸びる。「これぐらいでいいや」と自分の限界を自分で決めている=欲がない=もったいない人、になっていませんか?