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「わかりやすい」と「わかりやすく」は違う:「わかりやすい」とは何か?(3)

目的のために手段がある。前者は抽象的で曖昧なことが多く、後者はより具体的で目に見える。出来、不出来もわかりやすいから、手段ばかりに目が行くと手段の目的化が始まる。ゴールもよくわからないまま問題を叫んだり、なにしろルールを守ろうとするのはその最たるものだ。

日本IBMの下野副会長(当時)がKBSに来てくださった時、「欧米では、車でも家でも遠くから見るとかっこいいが、建付けがいまいちだったり故障が多かったりする。日本はその逆」と話されていた。もちろん個人差はあるが、日本人は全体像を構想するよりは、個別の技術を突き詰めることが得意と思う。結果として、いい技術や商品がありながら、欧米企業に比べ利益率がはるかに低いことが何十年も前から続いている。三菱重工のジェットもそうだろう。ただ、京都のお寺を見ると昔は両方あったのにとも思う。

わかりやすさは重要だ。しかし、わかりやすいから入ると、手段の目的化が起こりやすい。全体像、目的を構想したうえで、それがどうしたらわかりやすく伝えられるかを考えなくてはいけない。そこを間違えるから、どの会社も同じようなビジョン(パーパス)になる。TV番組も同じ。