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AI(と情報)の罠:SMSトロントで感じたこと(前)

9月29日Strategic Management Society (SMS) Meetingでトロントに来た。8月のAOMは病欠になってしまったので、ちょっと緊張した(NYCは大雨だった)。今年のSMSはAI、特に「人間を代替するか、それとも補完的か?」というテーマに圧倒されている。そう思ったら、7−9月四半期のMcKinsey Quarterlyの最も読まれたトップ10というメールが来て、見たら1〜3位、10のうちの7つがAI絡みだった。

そんな話をしながら、古い友人たち4人でランチをしたら、たまたま韓国(大学はシンガポール)、インド(シンガポール)、中国(アメリカ)と分かれた。自分だけ出身と現在が同じということはともかく、彼らと話したのは「欧米のアジア観はとても表層的だ」「NYタイムスのグルメ欄は素晴らしいが、アジア政治の欄はステレオタイプだ」といった話だった。

AIは既存のデータ、記事(つまり言語・数値)を「エサ」にして学習し精度を磨く。表面的な意見、バイアスのかかったデータばかりを基にしていたら、結果も表面的になる。情報の透明性と言われるが、(1)そもそもどのような情報が公表・報道されるかはブラックボックスで(2)言語化できないものは無視される。

カーネマン教授の告白の通りバイアスから完全に逃れることは不可能である。(不偏不党と言っている人もいるが)。だからこそ自分なりの根拠を明らかにした「対話」「議論」が必要なのだろう。帰国してたまった新聞を読んでいたら三浦知良さん(9/29)丸谷セコマ会長(10/2)がコラムでそうした点にふれていた。「事実は真実の敵」!