BLOG

出島イノベーション組織の落とし穴:A challenge of a dedicated innovation team

「社長直属のイノベーション組織」という記事を時々見る。以前から既存事業の論理(有名なドミナントロジック)に侵されないように出島を作るという議論はあり、実践している企業も多いと聞く。はやり言葉で言えば、深化と探索は分けたほうがいいという考え方である。

実際せっかくいいアイデアを持ちながら「出来るわけはない」と新規事業が潰された(ニワトリ会議!)という話はよく聞く。社長直下というのはそうしたことへの危機感の表れだろう。

ただ、考えてみるとイノベーションとか新規事業の「種」は既存事業の現場から生まれることが多い。当初ネットに乗り遅れたマイクロソフトが急速にキャッチアップできたのは現場社員がこっそり動いていたからと言われる。「こうするべきだ」と会社への直訴が認められず、辞めて成功したのはZoomに限らない。逆に、分けたはずのGoogle Xはあれだけ投資しながらAIも後塵を拝したり今一つである。

要は組織を分けてしまうことで、既存事業の社員には「新しいことなど考えるな」「今のことだけゴリゴリやれ」、出島社員には「過去=強みに囚われるな」というメッセージを出していないかと心配するだけである。

そもそも深化と探索を分けるべきなのか?という根本的な問題はさておいて、重要なのは全社員がどれだけやる気を持ってアイデアを出し合い、コミットできるかという話ではないか?自社しかできないことって何なのかを考えつくすことではないか?なんて単純すぎるオチですみません。