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AIBワルシャワ便り(後)

世界的に話題を呼ぶSDGsなども学会のテーマとしては取り上げられることが多い。一方で心ある研究者の間ではそうした社会的に重要なテーマが表面的な理解で中途半端にマスコミ等で喧伝されることに対する危機感も高い。

その最たるものがダイバーシティだろう。性別、人種といった目に見え、測りやすい指標だけではとても本質に迫れないからだ。過去の研究をレビューしたある発表では、ダイバーシティの測り方は22通りもあり、結果としてダイバーシティが対立、満足、あるいは信頼につながる場合がごちゃごちゃになっていると指摘していた。人間の外見と内面は同じではないし、どのような社会環境を経験してきたかも当然ダイバーシティにつながる。その意味で「ダイバーシティがイノベーションを生む」という威勢のいい掛け声は、否定しようがない点を言っているに過ぎず、「産みの苦しみ」を素通りしている

学者は重箱の隅をつついている、と思う人もいるかもしれない。しかし、こうした基本的なことの積み上げこそが新しい発見を導く。嘘だと思ったら、本当に「ダイバーシティがイノベーションを生む」事例がどれだけあるか考えてみたらいい。

8/4からはボストンで開催されるAcademy of Management(AOM)に行ってきます。ホテルがめちゃ高いです。