人の気持ちを考えろ、という先生。これまでにない斬新なものを作れ、という上司。いずれも想像力を働かせろ！と言っている。それはつまり、だれもが同じように想像力を持っているということだろうか？

仮にそうだとしよう。それでは、もともとの「ネタ」はどこから来るんだろう。イノベーションが「既存のものの組み合わせ」であることはよく知られているが、「既存のもの」を知らなかったら行きつくところはたかが知れていないだろうか？

「これだけ情報があふれている時代に、何を言っているの？」と思うかもしれない。しかし、情報と体験は違う。田舎に住みたい人は「都会は嫌だ」という体験はあっても、「田舎は素敵だ」という体験はあるのだろうか？「人を傷つけたくない」という思いは大事だが、傷つけたり、傷つけられたりした体験はどれだけあるのだろう？「顧客第一」と言っている企業の社員のうち、どれだけが「顧客に喜んでいただいた体験」をしているのだろうか？

故野村監督は「鈍感は悪」と繰り返していたし、アンテナを張ることの重要性もその通りと思う。ただ、小さなアンテナを一生懸命張っているよりは、アンテナを大きくするために行動するべきではないのか？PCの前で妄想していても、何も変わらない。