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「シニア社員活用」問題:レイオフで見逃されていること(続)

メタがまたレイオフを発表した。年度の終わりにあたって、2023度の研究テーマにしている「ヒト」の問題を3回シリーズで取り上げたい。レイオフ問題はすでにふれたが、法律で難しい日本では「シニア人材活用」が幹部研修などでも話題になる。人口ピラミッド的に労働人口が減少するからということもあるが、「給料高いのに遊んでいるおじさんたちをなんとかしないと」が本音のように思われる。

意識高い系の人たち(ちなみに、トランプ前大統領やエーロン・マスク氏はその種の人たちー英語でwokeと呼ばれるーが大嫌いである)はそもそも日本の法律が甘すぎると(暗に)言ったりする。日本企業の生産性が低いのはそういう人たちを養っていかなくてはならないからだ、逆に新陳代謝を繰り返すアメリカ企業は若返りを繰り返すから強いのだ、と。

『Japan as number one』という本が出て日本型経営が礼賛され出したのは1979年。のちに『Kaisha』(1985)『人本主義経営』(1987)と続くが、そこで指摘されていたのは、日本はヒトに投資をしてレイオフをしないから強い。アメリカ企業はヒトを使い捨て可能な経費として扱っているからダメだという点だった。実際LCCの嚆矢サウスウェスト航空の創業者のハーブ・ケラハーも「レイオフほど企業文化を貶めるものはない」と繰り返していた。

何が起こったのだろう?そもそもなんで「給料高いのに遊んでいるおじさんたち」が生まれてしまったのだろう?将来を嘱望され、大切にされ、バリバリと働いていた人ばかりなのに。

間違った問いをどれほど考えても問題は解決しない。次回はもう少しそこを掘ってみたい。