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ロシアがウクライナに勝てない理由:SMSロンドン最終日

あっという間に最終日。今回の大テーマは不確実性xデジタル(AIも含め)だなと思いながら、最後に出たのは「この時代に階層(hierarchy)は必要か?」というセッション。デジタルとギグワーカーの時代に「会社はなぜ存在しているのか」と並んで古くて新しい問いである。

もちろん単純な1/0の話ではない。一方、現場のリアルタイムの情報がますます重要になっている。そして現場には社員の観察、気づき、洞察といったコード化できない情報も多い。

「各人が組織のゴールを共有していることで階層は不要になる」かもしれないが、おそらくそれは必要条件にすぎない。社員のゴールを達成しようという意欲が上司を恐れず「声」を上げられる環境に裏打ちされること、つまり「文化」こそが実行と結果につながる十分条件ではないだろうか。

それを繰り返し言っているのは星野リゾートの星野社長。今度ゼミ生とお目にかかれることになったので楽しみだ。“Culture eats strategy for breakfast”という、有名なドラッカーの言葉もある。

結局不確実だから、技術が進みいろいろ複雑なことができるようになったからこそ現場を含めた「原点」を忘れないようにしないといけないのだと思った。ゲリー・ハメルは「テスラの戦略はシンプルだ」と指摘していたが、多くの企業はうまくいかないと「原点」に戻るのではなく、どんどん戦略を複雑にする傾向がある。社員ではなくコンサルタントやシステムを頼ろうとする。経営層は流行やハイテクで安心するが、現場からどんどん乖離していく。ロシアもまた同じ。

4年前に会ったイスラエルの先生に「久しぶり」と言われたりしたが(こちらは全く覚えてなかった)、今回私が出たセッションでは日本人の出席者は全く見なかった。だから空港で琴坂君(SFC准教授)に会った時はちょっとほっとした。自分がグローバルで苦労しないでグローバルを言うことはできない、なんてあまりにも原点すぎる。