イノベーションや想定外に代表される不確実性、VUCAは経営の敵ではなくもはや友達と考えたほうが良い時代である。コロナや戦争の影響もあってuncertaintyについてのセッションが特に今回は多かった。
AOMの時も思ったが、市場や社員から上がった想定外のネガティブな意見をサプライズ(あるいはシグナル)と捉えるか、無視すべき雑音(ノイズ)と捉えるかはとても難しい。全ての声を間に受けていたら、資源が分散するか、誰にも嫌われないけれど特徴がなくなるか、その両方かになるだけである。故クリステンセン教授が「顧客の声を聞きすぎると失敗する」と指摘したように。
一方ゲリー・ハメルは「他社が見えないもの、見ようとしないものを見ることが戦略の本質」と言う。
ここで出てくるのが「多様性」なのだろう。自分の気づかなかったことを指摘してくれるのは違う見方、考え方を持った社員である。そして「他社の見えないもの」もいずれ気づかれ、マネされる中でどんどん上書をしていく必要がある。だからこそ社員の力を100%発揮させるというopen strategyの話になる。
その意味で、多様性は必要条件に過ぎない。そして、多様性もタダではない。いや、短期的には効率を落とす元凶ですらある。だから難しい。だから経営の役割がある。「早く行くには1人で行け。遠くに行くにはみんなで行け」。昔の人はなんでこんなによく分かっているのだろう。
ちなみに、写真はホテルからハイドパークを横切って行った大英博物館のアフリカの展示です。