BLOG

ゲリー・ハメル登場:SMSロンドン3日目

SMSは他の学会と少し変わっていて、マッキンゼーやBCGの(元)パートナーなど研究者以外も参加する。3日目の目玉はMBAなら誰でも知っている「Strategic Intent」の著者で今も活躍するゲリー・ハメルの講演だった。

彼のメッセージをまとめれば「CEOがトップダウンで戦略を作る時代は終わった」「社員のポテンシャルを生かせ」「20%の社員しか会社にコミットメントしていないなんて、なんてもったいない!」。

社員の意見を吸い上げようとする会社は多いがそのほとんどが失敗しているのは「そもそもどう考えたらいいかをしっかり伝えてないので、細かい話か夢物語ばかり」「評価が曖昧で、誰もフォローアープしていない」と指摘する。(ちなみに、日本企業の話ではなく世界中の企業の話である)。

結果として「大企業は政治や規制の力で利益を上げている」「経営陣は高いサラリーを正当化するためにありきたりの施策をさもすごい戦略のようにおろしている」と手厳しい。流行りのquiet quittingとも呼応する話だ。

翻って日本の現状を考えるとパーパスとか人材投資とか耳障りの良い言葉が流行っているが、社員がポテンシャルを発揮してやろうとわくわくしているかどうかはもちろん、そもそも彼/彼女らが実際に何にどれだけの時間を使っているかを経営は知っているだろうかと考える。その逆もそう。まさか(全く価値を生まない)「管理」「書類づくり」「叱られないため」にばかり時間を使ってませんよね。

「売り上げや利益は結果」と良く言われるが、実は「良い戦略」もそうなのかもしれないと思った。