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「バカ者」の価値:「エリート」って何だ?(後)

前回の続きで。

1.金持ちがつるむのは世界中、そしていつの時代にもあることだろう。ただ、アメリカの貧富の格差は本当にすさまじい。

2.同じ8/25に「ビリギャル」のモデルになった小林さんの「受験は逆転の機会であるべきだ」という指摘があった。

3.バイデン政権が学生ローンを1万~2万ドル免除する報道に対して「日本はなぜできない」「日本にいて意味あるのか?」といった声が上がるだけでなく賛同する人までいて、結構驚いた。

この3題噺のオチは「日本って、いい国だなあ」ということ。ランチが安くておいしいだけでなく、安全で、大学も安いし、逆転のチャンスもある。学費だけで2000万円の借金を背負うアメリカとは全く違う。均一の勝利。

逆に言えばリスクを取らなくても(リスクを取らないほうが)、そこそこやっていける国でもある。「ダイバーシティ」「個性」が叫ばれる一方、出過ぎた杭が理由に拘わらず打たれるの一律志向が根強い証拠だろう。グローバルと言いながらガラパゴス化が進んでいるのではと心配する。

スティーブ・ジョブズの「stay hungry, stay foolish」は有名だが、Yコンビネーターのポール・グレアムもこんなことを言っている。

「スタートアップの創業者になるのに最適の時期を選べと言われれば、20代の半ばだ。25歳はスタミナ、貧乏、引っ越しをいとわない(rootlessness)、仲間、無知といった起業に必要なあらゆる利点を備えている。…どんな苦難が待ち構えているかを知っていたら誰も創業者にはなるまい。」

今求められるエリート=リーダーとはそういう人、少なくともそうした「バカ者」を支援する人ではないかと思う。文句ではなく情熱、守りではなく行動、計算ではなく勇気。

来週は安定と因習の世界を生き抜いたエリザベス女王国葬のロンドンからお送りする予定です。