BLOG

子供はいつやる気になるか?:新規事業の主語問題(2)

今回と次回、もう少し新規事業の「主語問題」を続けたい。

日経の「私の履歴書」、特に芸術家のそれを見ると、小学校や中学の時に先生に褒められたエピソードが頻繁に出てくる。横尾忠則氏もそうだし、最近の夕刊のコラム(3月11日)では渡辺えり氏が「あの時に褒められなかったら今こうして演劇をやっていただろうか」と述懐されていた。

人間の本質は子供のころからそんなに変わらない。褒められた喜びや人の役に立った時の充実感は何事にも代えがたい。新規事業だ探索だというとすぐインセンティブ制度に走る(そしてその話しかしない)企業はだいたい失敗する。

個人的に敬愛する故西堀栄三郎氏の著作には「(新しいアイデアには)何しろまず、ええなという」「味を占めさせる」「情熱がなければ執念もない」と強調されている。そして「日本企業にはアイデアがないのではなく、寄ってたかってつぶしにかかる」とも。

4月になってきっとまた多くの経営者は「好奇心を持て」と言っている。一方でどれくらいの新入社員が子供のころの褒められた喜びを忘れずにいられるだろう?多様性と言いながら「この会社の掟」を教え込んでいないだろうか?いつの間にかつまらない「大人」ばかりになる。

上司の皆さん、本当に面白いと思って仕事してますか?