前回は「本当に大切なのは『人気』でも『やらなくてはいけないかどうか』でもなく、『やりたいかどうか』ではないだろうか」と書いた。この点はずっと思っていることなのでここで改めて深掘りしたい。
新規事業=多角化、と言えばまず出てくるのがシナジー=自社の資源の活用。だから、自社にどんな資源や技術、ノウハウがあるかの棚卸をして、市場規模の大きいところに参入できないかを考えることがお決まりのパターン。
大体これは(コンサルタントの提言を受けた)経営企画部なんかが行う。決まったら社内を見渡して担当がアサインされる。しかし、優秀な人を配しても失敗する。この場合の主語は会社。「両利き」がはやり言葉になったのも、どうしたらいいんだろうと思っている経営者が多いからだろう。
よく考えてほしい。常々経営者自身が何を言っているか。「当社の最も貴重な資源は人だ」と言っていないか?だとしたら、シナジーの本質は技術やノウハウではなく、人を活用することのはずだ。そして、人が最も頑張るのは、言われたことをやる時ではなく、自分がやりたいことをやる時ではないだろうか?主語は担当者という固有名詞だ。
ちなみに「人の可能性は無限大」ならば、どこかの調査会社が出した市場規模なんて意味があるだろうか?「専門家の予想は必ず外れる」と言ったのは故クリステンセン教授。桜の開花予想は外れませんでしたが。