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オーナーシップの広げ方: 新規事業の主語問題(3)

新規事業の主語は「やるべき」を前面に出す会社でなく「やりたい」個人だといっても、1人ではできない。どうするか?これについて2つ紹介したい。

まず1つは最近のAcademy of Management Journalに発表された「アイデアを最後の段階で別の担当者に渡すと、創造的でなくなる」という論文。5000以上の映画のデータ(原作、脚本、監督を誰が担当したか)をベースに、「すべて1人でやるか、早い段階で実行者を巻き込んでやるかのどちらかがいい」「最後の段階で監督に渡すとつまらなくなる」という。そもそものアイデア以上にオーナーシップ、つまり自分事として取り組めるかどうかが結果を大きく左右する。

もう1つは長い間幹部研修をお手伝いしてきた外資系企業の事例。そこでは「若手がアイデアを出し、それを幹部が実現する」という試みを行っている。フレッシュなアイデアを持つが、現実の厳しさを知らず社内ネットワークもない若手と、経験豊富な分視野が過去に引っ張られる幹部の「いいとこどり」を目指している。初めは乗り気でなかった幹部も、知らない間に「乗せられる」ことも少なくない。前回の西堀氏の言葉を借りれば、創造的=非常識=馬鹿なので、「馬鹿と言われる人」と「育ての親」の両方の主語(守護?)が必要なのだ。

いずれにせよ、「市場規模が大きいから」「他社がやっているから乗り遅れないように」ではオーナーシップが生まれるわけはない。そこがズレていることに気づかないお父さんにならないようにと自戒。