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Engagementとその効果:41st Annual Conference of Strategic Management Society (SMS)

うかうかしているうちに戦略分野で最も権威のあるSMSのバーチャル学会が終わってしまった。毎日夜10時から始まり朝5時に終わるスケジュールで、学会誌Strategic Management Journal の編集委員にもかかわらずライブで見られたものは少ない。ただ、その1つが出色だった。

AOMでもそうだったが、今年もコロナ、あるいは不確実性に対してどうすべきかというテーマが多い。この「Entrepeneurial Responses to Crisis」というセッションで取り上げられたのはEngagement(熱意とか関与とか訳される)について。以前「日本企業の社員のエンゲージメントは世界最低レベル」とギャラップ社の調査が報道されていろいろな人がいろいろなことを言っていたが、高いと何がいいのかについては何の検証もない(正直質問項目も腹落ち感に欠ける)。

今回の発表は、会社へのエンゲージメントを「When someone criticizes my company, it feels like a personal insult.」「My company’s successes are my successes」といった6つの質問で測り、エンゲージメントの高さと時価総額の関係を検証している。結果を一言で言うと「コロナ前の平時ではほぼ関係ないが、有事のコロナ禍ではエンゲージメントの高さと時価総額は相関する」ということである。

とても納得した。ミッションだ、パーパスだと騒いでいても、普段はあまり関係ない。WSJに叩かれているフェースブックの株価が暴落していないことを見てもわかる(注:10/4はかなり下落したが、そのほかの理由が大きいと思われる)。結局その成果は有事の時にこそ現れる。改めて、危機は自分、自社の実力を見直すチャンスだと思った。「満潮の時は何を着ているかわからないが、潮が引けばすぐわかる」とウォーレン・バフェットの言うとおりだ。ちゃんとパンツくらいははいておこう。