どんどん組織ができるのに驚いて号外。「デジタル庁」、少し前に「子ども庁」(これはまだ実現されていないようだ)。今度はコロナ対策だということで「健康危機管理庁」を岸田氏がぶち上げた。官庁の縄張り意識は長年指摘されるところだから、喫緊の課題に横串を指す司令塔が必要であるというのはもっともな指摘で、期待する人も多いかもしれない。
しかし、「健康危機管理」はどう考えても厚労省の仕事だろう。つまり、再編が面倒だからと縄張り意識を持つ部署をもう1つ増やすのだ。さらに言えば、こうした新設組織に投資する資源はどこから来るんだろう?国も企業も資源の量は変わらない。限られた資源で何かをやるのであれば、何かをやめなくてはならない。大谷シフトをするなら、三遊間はあくのだ。
リーダーシップとは目新しい施策を打ち出すことではない。やりたいことがたくさんある中で優先順位をつけ、やめる決断をすることだ。やはり、どこかで政治家の皆さんにケースディスカッションをしていただいたほうが良い気がする。戦略の基本はトレードオフだから、政治の戦略とは今と将来でトレードオフ(つまりツケの先送り)だ、なんてどこかで間違って教わっているのではと心配です。