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東京オリンピックをやるべきかやめるべきか? Wrong question

正しい解を得るためには問いが正しくなくてはならない。「東京オリンピックをやるべきかやめるべきか」は問いの立て方が間違っていないだろうか?

開催したときのリスクや追加費用はよく議論されるが、開催しなかったときにそうした予算が何に使えるかは全く議論がないことに驚く。経済対策やワクチン開発に使ったらどれくらいの効果があるのだろう。Aとnon-Aの比較ではなくAとBの比較ができないのは、機会損失の発想がないからだ。つまり戦略的でない。

もう1つあるのは「国立競技場を立ててしまった」「これだけ広告に使った」といったサンクコスト問題。もう取り戻せないのだから、今後の追加コストとリターンで考える必要があるーなんて教科書的な話である。

IOCやJOCに聞けば「やります」と答えるに決まっている。開催こそが存在意義だから。担当者に君の仕事は意味があるのかと聞くのと同じ。この点は森さんがおかしいわけではない。将来を見据えた資源配分、トレードオフの決断は社長がしなくてはならない。逆に言えば、社長が部長目線では困る。

それにしてもMBAで教える「しがちな失敗」がこれだけ豊富に詰まっているケースも珍しい。閣僚の皆さんにKBSに来ていただいて、ケースディスカッションをしたいけど、無理かな。