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「○○しなくてはならない」が多くない?

経営書にしてもビジネススクールにしても、経営に関しては何かと「○○しなくてはならない」という話になる。最近はやりの「パーパス」なんていうのもそう。経営者は会社のパーパスを明確にしなくてはならない、社員に浸透させなくてはならない、とか。

ただ、ちょっと待てよとも思う。例えば「世の中の人を幸せにする」とかって、口では言わないし、どこかに書いてもいないけれど、みんな多かれ少なかれそうなったらいいなと思っている。なぜ、そんなことをわざわざ「しなくてはならない」なんて言われないといけないのだろう?

おそらくパーパスは「利益至上主義」への反省から生まれてきたのだと思うけど、だとすれば反省しなくてはならないのは経営者であって、社員ではない。そして、経営者だってお金は大事だけれど、お客さんの笑顔を見たいと思っているはずである。なのにそこから離れてしまったのは、無理をしているからだと思う。結果としてモチベーションが下がるから、ますます無理をする悪循環が起きる。それを見て「○○して解決しなくてはならない」と言うわけだけれど、「そもそも、自分は、あるいはうちの社員は何がしたかったんだっけ?」と原点に戻ってみたらいいのでは?自分がやってうれしいという気持ちは、お客さんにも伝わる(と私は教壇で固く信じている)。

パラリンピックが教えてくれるのは「無理をする」とは背伸びをすることではなく、ゴールもなくやりたくないことをやることだ。実はmust/shouldよりはcanを考えようというのは起業家論で最近やっと注目され出したeffectuationという考え方。これは次回のお楽しみ。