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81st AOM の収穫:Voice and Silence

正直言って、今年のAOMはいまいちだった気がする。昨年は初めてバーチャルだったので気合が入っていた。今年はコロナとかクライシスマネジメントのテーマも数多くあったが、McKinsey Quarterly の記事とそんなに変わらない。Finkelstein教授の話を除いてはそれほど目を見張るものはなかった。

そうした中で、個人的には昨年と同様AIがらみの話が面白かった。「好き嫌い人事はおかしい」という割に、客観的であるはずのAIを信じていない社員が多いという話、医学の世界でも「計算上」は精度が高くても、実際には使えなかったり(りんごの写真はラベルの効果が強い例)、そもそも中身がブラックボックスなのにどうやって人間と協業できるのかという指摘もあった。簡単なAIソフトがフェイクニュースを作る実演まであって驚いた。

自分は戦略の研究者のはずだがなぜかHR系の発表に惹かれるものが多い。AIとHRもそうだし、今年結構多かったのはvoiceとsilence、つまり社員が声を上げないという現象についてのセッションだった。シャーロックホームズの「白銀号事件」ではないが、問題は見えるところよりも、見えないことに多くある。

ほぼすべてのセッションのアーカイブは10月末まで見られるが、だいぶ飽きてきた。知識だけでなく、興味も鮮度が大事たと改めて感じた次第。9月の学会(Strategic Management Society)はまたバーチャル(しかもお値段高め)。どうしようかなあ。