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企業統治?Corporate governance is not a silver bullet.

最近の流行語の1つに企業統治がある。小林製薬はもちろん、フジテレビもまたアクティビストファンドに突きつけられていた。

とても便利な言葉である。アメリカでも日本でもMBAのクラスでも、企業の業績が悪い理由を問うと「リーダーが悪い」と言う答えがよく返ってくるのと同じ。間違ってはいないが、その一言でわかったような気になると問題は決して解決しない。トップをコロコロ変えて更に業績の悪くなった会社はたくさんある。(国でもそうなのはご承知のとおり)。

企業統治=corporate governanceはもともと株主と経営陣の情報の非対称性から、経営陣が「私腹を肥やさないように」が基本にある。例えば社外取締役もストックオプションもそのための仕組みである。

今回のような社内の不祥事はじつは根が深い。「会社のため」に「あたりまえ」のように社員がやっていることも多いからである。

法律違反は論外として、社内で正か誤かの境目はわかりにくいし、その基準は往々にして「これまで」(いわゆる前例主義)。その基準が文化レベルまで落ちているととても厄介である。誰も疑問を持たないどころか、別のことをやろうとすると社内的に罰せられたりする。「〇〇らしくない」なんて言われて。

そう考えてみると、不祥事事件で最も正しい目を持つのは新入社員(中途を含め)かもしれない。「当社の常識、世の中の非常識」とは使い古された言葉だし、新入社員が悪い文化を持ち込むこともあるだろう。ただ、企業統治という言葉を振りかざす人の多くは、トップこそすべてを知りすべてをコントロールすべきだという、現実離れした前提をおいている。「自分が間違っているのではないか」と真摯に新入社員に聞いてみることは悪くない。子どもに教えられることは多い(と最近特に感じます)。