前々回触れたように、日本企業が短期志向と言われる要因の大きなものにリスク回避、減点主義が横行していることがある。バブルの時に調子に乗ってバンバン投資をした結果、M&Aを含め失敗を重ねたことから「学んだ」と言えなくもない。
畑村先生の『失敗学のすすめ』がベストセラーになったのは2000年。しかし、経営の世界で起きたのはM&Aで失敗したから二度としないとか、世の中で言われている失敗理由を当てはめて満足するとか、あるいはリスクをとことん詰めてチャンスを逃すといった「失敗から学んだつもり」だったのではないか?(そうした問題意識で本を出したがさっぱり売れなかった)
アマゾンにしてもNetflixにしても多くの失敗をしているし、もう駄目だといわれた時期もある。しかし投資はやめなかった。日本でそこまでやっているのはソフトバンク、そしてホリエモンをして「全賭け」と言わしめた楽天の携帯事業だろうか(個人的には成功を応援している)。
大企業のいいところは失敗ができることである。フルスイングをするから成功しても失敗しても実力がわかるし、成長できる。人に投資をするとはそういうことではないのだろうか?リスクがあるからリターンがあるし、評論家やコンサルタントが見立てる「客観的」成功確率は、本当にやりたい当事者がコミットした場合とは違う。