BLOG

ビジネススクールの教員の価値(後):What is the real value of business school professors?

もちろん豊富な知識が価値となる場合も多い。会計はファイナンスなどそもそも知らないと話にならない場合は特にそうである。しかし、組織マネジメントとか戦略になると知識の問題ではない。そもそも幼稚園や小学校と大企業でリーダーがどうあるべきかはそれほど大きく違わない。

少し前の5千円札の新渡戸稲造は『自分をもっと深く掘れ』という本を書いている。馬に見えても、中身はオオカミかもしれないし、魚かもしれない。しかし、だからといって、どうしたら自分を深く掘れるのか、意欲を持ち続けることも実際に掘ることも実はとても難しい。今の自分に満足したり、あきらめたする方がとっても楽だ。

だから教員が要るのではないかと思う。一言で言えば外圧である。自分が正しいと思った意見が否定され、かき回され、逆にそうでもないところが評価されたりする環境では、なぜなんだろうと思わざるを得ない。言い換えれば「自分を深く掘らざるを得ない環境」を提供することが価値なんだと思う。

ただ掘るべき「深さ」は人によって違う。そして、すでに深く掘っている学生ほど、さらに掘るともっといいものが出てくる。「先生の言うことはおかしい」と思ったとき、教室の絶対君主に対抗するには、さらに深く掘らざるを得ない。もやもやしていても「先生が言ったからそうだ」と思ってしまうとそこで成長は止まってしまう。そのほうが先生も楽なんだけど、先生の成長もない。