日本におけるM&A仲介の先駆けともいえるレコフの稲田洋一会長とはMBA時代、ダートマス大学近くのちっぽけな空港に降り立ち、右も左もわからないときに白のアコードで迎えに来ていただいてから30年のお付き合いである。
私がKBSに来てからも自身の研究だけでなく、ゼミ生のM&Aにかかわる修論でも随分アドバイスをいただいている。昨年会長になり、少し時間ができたのでゼミ生の皆さんと一緒に食事でもしましょうとおっしゃって頂いたのが今回である。「こんなに偉い人と会食できるなんて!」と緊張していたゼミ生の感想のほんの一部を紹介したい。
「未来予測についての質問をさせていただいた時、パッとお答えになるかと思っていたら、未来は我々若い世代が作っていくものであるという御言葉をいただきハッとしました」
「近年自社の中期経営計画における戦略の一つとしてM&Aが項目の一つとなっており、私は5〜10年後には定着すると考えていた。しかし、ノウハウ・M&Aに携われる人財・覚悟において20〜30年スパンで考える必要があると感じた」
「乾坤一擲の言葉がとても印象に残っています。天下をかけて一度さいころを投げることがその本来の意味だと思いますが、さいころの目を信じ、懸命に戦わずして成果はなし得ない。そんな気概を感じることができました」
「準備のないところに良いチャンスは与えられない。私の所属企業は自前主義が強いが、M&Aは戦略を成し遂げるための一つの手段であるため、チャンスを逃すことのないよう検討に入れるべきであると感じた」
個人的には、これだけの実績を残されている方が「一隅を照らす」とおっしゃっていたのが心に残っている。
ちなみに今回写真がないのは、稲田会長のお話に興奮しすぎたゼミ生(と私)が撮り忘れたからです。