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記事の読み方(1):「辞められない“高齢経営者”という日本の風土病」?

77歳永守重信氏のCEO復帰に関して少し前のクーリエ・ジャポンの記事は冒頭の見出しを掲げた。米メディアの手厳しい指摘だという。

78歳の大統領を選んでおいてよく言うよ、という気はするが、高齢経営者がしがみつく問題は「老害」などとして昔から言われていることも事実。スパッと引退した本田宗一郎氏はたたえられ、磯田一郎氏、西室泰三氏らは「晩年をけがした」などと言われる。こうした記事はマスコミが喜んで飛びつく。正義の味方感満載である。

個人的には永守氏の復帰が良いかどうかを決めるのは(アメリカの)マスコミではなく市場や取締役会というガバナンスではないかと思えて仕方がない。永守氏の持株比率は8.3%、エスエヌ興産分を入れると12%弱である。いやいや、そうはいっても彼に逆らえる人は実質いないのが問題でしょうという人はAlphabet (Google)やMetaを見たらいい。創業者ががっちり議決権株を握ってそれこそ一般の投資家は逆らえないようになっている。

1つ2つの事例を取り上げてあたかもそれがすべてであるかのようにいうことはサンプリングバイアスという。「日本人は」「日本企業は」記事は残念ながらこのバイアスに侵されていることが多い。乏しい海外経験で?という記事もある。ちなみに写真は2015年の学会のもの。イケてる会社ではなく、こうした脚光を浴びるスタートアップが議決権株を発行しておりガバナンス上どう?って話でした。