暴言は論外として、「褒めて育てる」か「叱って育てる」かは個人的にも悩ましいところである。
例えばケースディスカッションで「えっ?」と思う意見が出ることがある。ダメ出しをすることで本人はもちろんその他の学生が躊躇するリスクを踏まえながら、論理が破綻していたり、何が言いたいのかわからない意見は明確にそういうようにしている。緊張感がある=しっかり準備して臨むから学習効果がある、と単純な等式にならないこともあるけれど。MBAのトップスクールで普通のコールドコールも同じ考え方だ。
2013年にWSJで「Why Tough Teachers Get Good Results」という記事があった。「今なら馘になる」ほど暴言を吐きまくる音楽大学教師Mr.K (ウクライナ出身!)を回想したこの記事で指摘されているのは「出来ないから怒るのではなく、出来るはずだから怒る」、結果として「本当の自信」「失敗から立ち上がる力」を教えられたと卒業生は言う。「自己肯定感」は流行り言葉の1つだが、ただ褒めればつくものではないことは自分のCDI時代の経験でも確認済みである。
クラスごとに学生から評価されるアメリカでつくづく思ったのは「大学の先生は楽をしようとしたらどこまでもできる」こと。ほめ殺しをし、皆にAを与えても短期的には誰も困らない、いや大喜びだ。だからこそ自分のラインを持たないといけないと言い聞かせてきた。
Mr.K の葬儀には驚くほどの卒業生が集まったという。吉越浩一郎氏の考える良い上司は「部下に好かれようとしない」「無理難題を言う」「挑戦して結果を出す」だともあった。「育てる」なんていうのがそもそも上から目線ではないかって?う~ん。(この終わり方、前もあったな)