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暴言と逆パワハラ(部下編)

暴言よりもむしろ最近よく聞くのは「部下を叱れない上司」問題。若い世代とのコミュニケーションの間合いが分からず、コロナがあけてもどう対応していいか困っているという。

自分の経験を思い出すと、80人程度のコンサルティング会社にいて、上司はもちろん社長から飲みに連れていかれることもよくあった。何度も同じような説教をされて辟易することも多かったが、貴重な経験を共有してもらえたのだ、何度も繰り返すぐらい大事だったんだと今はわかる。問題は、当時はわからなかったということだ。

経験によって見える景色は異なる。上司が部下のことを分からないのと同じくらい、部下は上司のことが分からない。異動や配属も含め誰でも嫌なことはやりたくないが、一方でそれは潜在力に蓋をすることにもなりかねない。プロで成功しなかった多くの天才球児を見て、故野村監督は「自分が長所だと思っていることがそうでないことが意外に多い」と指摘されている。「自分のことは自分が一番よくわかっている」というのは思い込みに過ぎない。そして「人間は無視、賞賛、非難の順で試される」、つまり「褒められているうちは半人前」だとも。

「率直なフィードバックは成長痛」というのはNetflixのへースティングス。「心理的安全性」は階層の下の立場を前提にしているが、実は上司にこそ必要な時代なのかもしれない。率直に言ってくれる上司は絶滅危惧種になりつつあるって、わかってます?