時間があるなら熟考すればするほど良さそうだが、多くの場合できない理由がどんどん出てくる。つまり考えれば考えるほどしない方がよいことになり、結局これまでのやり方、陳腐化した計画にしがみついてジリ貧という事例は山のようにある。そして、優秀な人ほどリスクを見つけるのが得意である。
同じような話は「思いつき」に限らない。本田宗一郎氏は『俺の考え』のなかで、「ニワトリ会議」の話をしている。血が出た一羽を寄ってたかってつついていないかというのである。リスクを取るより他人のアイデアにダメ出しした方が仕事ができるように見える。だから責任のない野党は威勢がいい。ただ、何も起こらない。
いずれにせよ、100%成功する戦略なんてない。あれば競争相手がとっくにやっている。最後は経営者の直感に頼るしかない。ただし、優れた経営者は常にその問題を考えており、湯呑みにたまった水が垂れるように、外からは「思いつき」に見えるものの、満を持して決断している。ジャック・ウェルチの『わが経営』の原題は『Straight from the gut』である。
3回シリーズのオチは、「ぼーっと生きてんじゃねーよ」ということです。バスケット中のゴリラもチャンスの女神も、見ようとしていなければ見えません。