もう1回だけ是枝監督。カンヌ国際広告祭の審査委員長が示した審査基準は「ブレイブ(勇敢)であるかどうか」だったそう。
「こんなことをすると問題が起きるんじゃないか思えることを、あえて言い切る」と是枝監督は解釈している。この「あえて」が大事で、単に無茶をするのではなく、考えて考えて葛藤したうえでそれでもこうしなければだめだと踏み出すことが勇敢であるということ。歴史上の偉人にも臆病者が多かったといわれるが、ギャンブルとリスクテイクの違いはそこにあると思う。
だから、「意思決定は1秒でします」と公言するスタートアップの社長を私は信じない。苦悩が必要ない決定は大したものではない。
勇敢であること、「傷を抱えながら生きるヒーローこそが格好いい」という宮崎駿監督の価値観とちょっと相通じるところがあると思いませんか?