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「わかりやすい」とは何か?(2):ケーススタディの良さと罠

ハーバードに源流を置くケーススタディをKBSでは多用する。結局これが良かった、悪かったという教訓や示唆を学ぶわけだが、それなら最初から教訓だけ覚えたらいいのでは?M&Aはリスクが高いとか、成功企業ほど過信しやすいとか。

実はケースを議論したからと言って新しい教訓が見いだせるわけではない。そもそも経営の教訓などほぼ語りつくされており、聞けばあたりまえのことが多い。

それでもケースを議論するのは(1)具体的な事例を使うことで抽象的なわかったつもりを避け(2)なぜ、あたりまえができないかをより深く理解でき(3)自分や自社に置き換えやすくなるからである。

そのステップを端折って「具体的成功事例」を短絡的に自社に当てはめようとするのは、抽象的なコンセプトを生半可に使うのと同じくらい「MBAバカ」である。いい薬が欲しいのは患者も企業も同じだが、自分が何の病気か本当にわかっていなければ、何が「いい薬」かもわからない。「具体例=わかりやすい=簡単」と思い込んだ時に悲劇が起こりやすい。身近なものほどよく見ていないことって、多くないですか?